常武電鉄では、下記4つの路線延伸計画が存在している(た)。
本項では、これら計画線の概要と、その後の進展を述べる。
ちばらき線(一部開業済)
茨城県龍ケ崎市の電鉄龍ケ崎駅から、茨城県稲敷市の稲敷江戸崎駅(仮称)までを結ぶ計画路線である。
このうち、龍ケ崎市内の電鉄藤ケ丘までの区間は、2025年3月15日に開業した。
鉄道空白地帯である稲敷市から池袋までを50分台で結び、東京の新たなベッドタウンとして稲敷市内を大々的に開発する意図があった。
しかし、下記2つの理由で電鉄藤ケ丘以東は頓挫した。
- 20世紀末から稲敷市内の人口が減少に転じ、今後も人口減少に歯止めが掛からない見込みであるため
- 電鉄藤ケ丘駅以東は沿線人口が元々少なく、都心から距離もあり今後の宅地開発が期待できないため
ニュータウン線(頓挫)
千葉県柏市の沼南台駅から、千葉県印西市の千葉ニュータウン中央駅(北総鉄道、京成電鉄)までを結ぶ計画路線である。
終日に渡りちばらき線と直通運転を行い、副都心と千葉ニュータウンを直結させる意図があった。
ルートは概ね国道16号線に沿うものの、船橋市内を通過するかしないかで議論が巻き起こった。
最終的にぎりぎり船橋市内を通らないルートで計画が進みつつあったものの、下記3つの理由で2012年に頓挫した。
- 千葉ニュータウンの人口が計画の7割程度に留まり、今後の人口増加も期待できないため
- 三郷や柏を経由することで、都心まで遠回りとなるため
- 起終点以外の沿線人口が元々少なく、都心から距離もあり今後の宅地開発が期待できないため
実現した際には、各駅停車3本/h程度の運行が予定されていた。
水海道線及び関鉄常総線直通線(頓挫)
茨城県守谷市の守谷駅から、茨城県常総市の水海道駅(関東鉄道 以下関鉄)までを結ぶ計画路線である。
終日に渡りつくば線と直通運転を行い、都心と水海道地域を直結させる意図があった。
計画としては、小貝川左岸を経由する新設線を建設するA案と、新守谷付近から関鉄常総線に直通させるB案が存在した。
実現にあたっては、柿岡地磁気観測所30 km圏内は原則交流電化にする必要があり、この問題解決が開業の大きなカギとなっていた。
しかし、後述の理由でA案が2014年に頓挫し、残ったB案も関係各所との折合いがつかず2018年に頓挫した。
A案
既存の市街地を避け、小貝川左岸の水田地域に高架橋を敷設し、関鉄の水海道駅西側で垂直交差するように電鉄水海道駅を設置する計画であった。
土地の立ち退きが最小限で済み、また水海道―守谷間の所要時間が最短となる見込みで、実現可能性は高かったものの、最終的に頓挫した。
頓挫した理由は下記3つである。
- 電鉄水海道駅を地磁気観測所30 km圏外に建設することで、関鉄駅ホームとの乗換距離が長大になるため
- 関鉄最大の商圏である守谷―水海道間の旅客の大半を常武が奪うことになり、常総線の存続が危ぶまれるため
- 途中駅を設けない計画であったことから、旅客を水海道でしか集めることができず、高架橋の建設費に対して収益性が著しく低いため
特に2番目の理由から、地元からの反対が非常に大きかった。
B案
常武電鉄守谷車両基地の出入庫線を利用して関鉄新守谷駅に乗り入れ、水海道駅まで電化した上で直通運転する計画であった。
A案と比べると関鉄の経営にプラスとなる可能性を秘めていたが、下記5つの理由で頓挫した。
- 軌間が異なることから、関鉄の新守谷―水海道間を3線軌または4線軌とする必要があり、どちらを採用しても初期投資と維持費用が高額となるため
- 車両設備の都合、常武の車両に関鉄式ATSを設置する必要が生じるため
- 電化設備の設置及び維持費用を、関鉄と常武がどの割合で出すか折合いが付かなかったため
- 既存の水海道駅が僅かに柿岡地磁気観測所30 km圏内に位置しており、駅を移転して直流電化とするか、駅は既設位置のまま交流電化とするかで地元や関鉄との3者で折合いが付かなかったため
- 常武の電鉄守谷―新守谷間が遠回りとなり、直通による所要時間短縮が期待できなかったため
実現した際には、A・B両案とも各駅停車または特急3本/h以上の運行が予定されていた。
尚、4000系と4060系は何故か水海道の行先表示を有している。
但しちばらき線所属車両は、京王直通対応に際して削除された。
空港新線(建設決定)
茨城県つくば市のつくば駅から、茨城県小美玉市の茨城空港駅(仮称)までを結ぶ計画路線である。
2024年1月22日(月)に常武電鉄より発表された。
つくば線と直通運転を行い、最高速度は130 km/h、運行頻度は1時間3本程度で想定しているという。
またこれに伴い、つくば線の交流区間である電鉄守谷―つくば間も最高速度130 km/hに引き上げるとされた。
具体的な経路は審議中とするも、土浦市、かすみがうら市、石岡市を通り、30 km程度の路線長となる見通しである。
石岡駅付近でJR常磐線と交差し、接続駅を設ける他、沿線各自治体に1駅ずつ設置するとしている。
現時点ではちばらき線との直通運転は想定しておらず、つくば線の列車(主に特急)の延長運転で対応する。
各地からの最速所要時間は以下の通り想定されている。
- 電鉄秋葉原駅―茨城空港: 64分
- 電鉄北千住駅―茨城空港: 54分
- 電鉄三郷駅―茨城空港: 45分
- 流山おおたかの森駅―茨城空港: 40分
- つくば駅―茨城空港: 20分
東京都心からのアクセス性は羽田や成田に叶わないものの、足立区や千葉県北西部であれば茨城空港が十分選択肢に入るという。
建設・運営方式は画策中で、2031年度までに着工、2037年度中の開業を目指したいとしている。
なお背景としては、羽田・成田両空港の発着枠飽和が挙げられる。
対策として茨城空港の発着枠増強とターミナル拡大が画策されており、そこに連動してアクセス鉄道を整備することが検討されていたという。
実現に向けての障壁は高く、研究会としては本プロジェクトが今後どのように進行するのか注視していきたい。
追記
2025年6月23日(月)、空港新線の建設が正式に決定した。
開業は計画より早く、2035年度を目標とされた。
研究会では引き続き、本プロジェクトの進行を見守りたい。
つくば線豊洲延伸線
東京都江東区の豊洲駅(仮称)から、千代田区の電鉄秋葉原駅までを結ぶ計画路線である。
2026年7月6日(月)に常武電鉄より発表された。
また同時に、京南電鉄(品川―平塚間 以下京南)においても京南線の豊洲延伸計画が発表され、豊洲駅を介して直通運転を検討中とされた。
京南線に関する情報は、別記事にて取り扱う。
背景
新路線の建設目的は、急速な発展を続ける豊洲への交通手段確保である。
現在、豊洲駅には東京メトロ有楽町線(以下 有楽町線)、東京臨海新交通ゆりかもめ(以下 ゆりかもめ)の2路線が乗り入れている。
1988年の有楽町線開業以後、豊洲駅の乗降客数は50,000人/日程度であった。
2006年にゆりかもめが開業すると、一転して毎年5~10%、多い時で45%も乗降客数が増加し、2018年には2社合計で乗降客数が250,000人/日を突破した。
これに対して既存駅では、通路等の拡張等、増え続ける旅客を捌くための対応が行われてきた。
2021年度には住吉方面への新線建設が決定し、2030年代半ばの開業を目指して工事が行われている。
ところが、この地下鉄新線は既存の有楽町線ホームから分岐する計画で、既存駅施設に今以上の旅客が殺到することになり、スムーズな旅客誘導が課題となる。
また、都内各地域へのアクセスは有楽町線の途中駅から乗換えが前提で、選択肢が少ないことも課題として挙げられる。
これらを解決すべく計画されたのが、つくば線及び京南線の豊洲延伸、直通運転である。
新規で駅施設を構築することで、新たな旅客動線を確保するとされている。
経由地
新線の経由地は、現在検討段階である。
2025年7月時点では、つくば線の延伸ルートとして次の3ルートが検討されている。
- 電鉄秋葉原―東京付近―宝町付近―月島―豊洲
- 電鉄秋葉原―日本橋付近―八丁堀―月島―豊洲
- 電鉄秋葉原―日本橋付近―門前仲町―豊洲
電鉄秋葉原―豊洲間の最短ルートは人形町付近、越中島付近を通るルートであるが、日本橋または東京付近を通ることが条件のようである。
京南線直通の場合の問題点
単なる豊洲延伸でなく、仮に京南線と直通運転を行った場合、次のような問題を抱えることとなる。
- ① 既設路線や着工済の新路線と経路が重複する
- ② 都心区間(品川―豊洲―電鉄秋葉原)で遠回りとなる上、2社跨ぎとなり旅客の運賃負担が大きくなる
- ③ 交直流車を直通させた場合、車両製造費や維持費が大きくなる
- ④ 2社跨ぎの総距離が長大(100 km越え)となり、列車便所の必要性が高くなる
①に関しては、計画中の区間に加え、電鉄北千住―豊洲間においても東武鉄道と東京メトロ新線を介して競合することになる。
②に関しては、直通による効果が限定的となることから、直通自体の必要性を十分検討する必要がある。
③に関しては、つくば線に交流区間を含むことから、高価な交直流車両を直通させるか否かの議論が両社間で必要となる。
直通させない場合は、境界駅やその付近の駅で旅客に乗り換えを強いることになり、直通運転の効果が低減する。
一方直通を行う場合、交流区間を有さない京南が交直流車両を保有するか否かが大きな争点となる。
常武側は圧倒的に交直流車の運用数が多いため、京南側が交直流車を保有しない場合は車両使用料の精算が難しくなると思われる。
④に関しては、茨城空港新線の開通も考えると、直通距離がおよそ150 km、直流区間に限定しても100 km以上となることが確実である。
旧国鉄の基準ながら、走行距離が100 kmを越える場合に列車便所を設置していることが多く、実態としても概ね現代まで踏襲されていると思われる。
便所を設置すると、車両側でなく地上側にも設備が必要となる他、定期的に汲み取りのため入庫させる必要が生じ、運用数が増大する等、運行コストが膨れ上がる。
各列車の運行距離を短くする、主要駅での停車時間を長くする等、便所設置を避けることも不可能ではないものの、直通運転のメリットを大きく低減させることは否めない。
